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子どもの芸術体験

【レポート】八女市立八幡小学校5年生学級分会でのワークショップ

校内の発表公演校内の発表公演
2003年6月25日八女市立八幡小学校5年生学級分会事業で、「表現コーディネートあぴあ」主宰・久保田りきさんによるワークショップを行いました。当初、八幡小学校5年生担任の安達先生からの依頼は、親子レクリエーションの運営だったのですが、そこを一歩踏み込んで、アートサポートふくおかでは、親子で楽しむ表現ワークショップとして久保田さんに企画運営をお願いしました。
八幡小学校は、八女市でも田園風景が美しい南部に位置する小規模校です。
5年生も現在1クラスのみ、24名の児童数です。小学校1年生からずっと同じクラスメートで過ごし、仲良くまとまってはいるものの、児童間の役割が固定化してしまうのが、単クラス学校の悩みのようです。

今回のワークショップは1回のみ、それも1時間半という短い時間でしたので、ひとまず、子どもたちには「表現する」ということの楽しさ、そしてイメージするということの多彩さと楽しさを少しでも体験してもらおう、ということを目標に組み立てられました。といっても、本当に短い時間でしたので、プログラムづくりに久保田さんはいろいろと工夫をしてくださいました。

当日は、八女市の東部童男山古墳のそばにある「ふれあいの家南筑後」(福岡県の施設です)の研修室に、保護者(お父さんは二人)14人、児童23人が集まり、担任の安達先生、教頭先生も参加して行われました。
最初は、久保田さんおなじみのじゃんけんを多彩に用いて全体をリラックスさせます。その後、好きな色や、夏といえば!で、いっせいに仲間集め、また誕生日やなまえのあいうえお順に親子別に並び、速さを競いつつ集団の中での互いの関係を確認しあいました。
以上のような、ウォーミングアップの後、概ね大人一人と子ども二人のグループに分かれて、まずはあるシチュエーションを決められたポーズで表現してみました。「銀行強盗」に、「ウルトラマン」、そしてなぜか「バニーちゃん」!!ここで大人も子どももシャイさが吹っ飛んだようでした。

この3人組を保ったまま、徐々に、イメージする、それを伝える、という作業に入っていきます。
次は、私・五島も一役買い、不思議な格好で会場からは見えないところに潜みます。子どもたちは、その私のポーズや持っているもの、格好をグループの大人と会場にある品物を用いて再現するといった趣向です。私は、ミッキーマウスの携帯を持ち、緑色の割烹着を着て、黒い帽子をかぶり、さらに傘を持って座っているというポーズ。各グループのポーズ再現が終わって会場に戻ってみると、子どもたちが様々に工夫して大人を「造形」していて、笑わされました。久保田さんが丁寧に、各部ループのできばえや工夫の後を見て取って、みんなに見せあいました。

さらに「イメージする」こと、それは人によって様々なんだということを、確かめ合うこと、また大人と子どものことばでのコミュニケーションを深めるために、音楽を聴いて自由にそのイメージをおしゃべりするという時間をグループ内で持ちました。

終盤戦は、カラフルな布を用いた「バルーン」づくり。3色の薄い布は、3角形をしており、一人ずつ3角形の1点をもち、ゆっくりと揺らして持ち上げ、空気をはらませて布の風船を作っていきます。3人の息が合わないと、美しいおおきな風船はできません。3人組は最初は神妙な面持ちで、布を上げ下げしていましたが、いったん互いの呼吸があうようになると、毎回美しい布の「バルーン」があがるようになりました。各グループが一通りやってみた後、今度は巨大な3角形の布が登場しました。まるで久保田さんの大きなかばんは、ドラえもんのポケットのようです。全員で、巨大な黄色い風船をふわりと空中に浮かせて、みんなでその中に入れるようになるまで、数回やってみた後、最後は、布無しで、みんなでイメージのバルーンを息を合わせてつくりました。

久保田さんには、1時間半という短い時間をテンポよく進めていただいて、「親子」からさらに「大人と子ども」のコミュニケーションという点で、大変濃密な時間が過ごせました。保護者からも、普通のレクリエーションと違って、よりよく一緒に遊びあうことができて新鮮だったと好評でした。子どもたちも、遊びながら楽しみながらも、いつもとはちょっと違う感性を働かせていたのではないでしょうか。
本来ならば、これをとっかかりとして、次によりつっこんだ表現ワークショップの機会をつくっていけるといいのですが、継続的な活動の展開が、私たちアートサポートふくおかの課題でもあります。 (五島朋子)

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